shooting star【怪獣/保科宗四郎/甘々】
第1章 運命が変わった日
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怪獣が現れた日から、約二週間が経とうとしていた。
病室に訪れた保科宗四郎は、彼女の眠るサイドボードのテーブルに花の入った花瓶を置いた。
もう、ここに来るのも何度目だろうか。こうして任務に時間が空くと、必ずと言っていいほど訪れていた。
奇跡的に助かった彼女、 は瀕死の重症のまま病院へ担ぎ込まれ、大手術を終えた後、ICUから個室の病室へと移動した。
人工呼吸器は外れたものの未だに目を覚ます素振りも無く、腕には点滴の管が繋がれていた。
(あん時、僕がもう少しでも早う着いとったら、こんな事にはならへんかったのに···)
ベッドのネームプレートを見て、保科宗四郎は複雑な胸中のままベッド脇の椅子に腰掛けた。
「全く、昔からちっとも変わってへんやん···」
(目ぇ、覚めたら僕の事思い出すやろか···)
換気の為に開けた窓からは、ふわりとカーテンを揺らして、柔らかな風が舞い込んで来た。
(再開するにしたって、あんな再開は無いやろ···)
小さな女の子を守って、体が傷ついて、それでも小さな女の子を他人を優先する優しさは、保科宗四郎の記憶の中の彼女と変わらないでいた。
(早う目ぇ覚ましてや、今度は僕が守ったるから···)