shooting star【怪獣/保科宗四郎/甘々】
第4章 距離
リハビリも順調に進んで、とうとう退院の日が来た。
怪獣に襲われた女の子を助けて、幼なじみのそうちゃんとも再会して、毎日のようにお見舞いに来てくれて。
それも今日で終わりだ。
寂しいような嬉しいような、空になったテレビ台に綺麗に整頓したベッドや布団。
「で、荷造り終わったん?」
と、寂しさを感じつつ荷造りの終わったボストンバッグを手に持つと、背後からぬるりとそうちゃんが声をかけて来た。
え···、今日って仕事じゃないの?
と言うか、私はそうちゃんに退院の日教えていないのに。
「そうちゃん、何で···?」
「何で?って、今日が退院の日教えてもろたから、迎えに来たんやで」
「看護師さんに」と付け加えて、そうちゃんは私のバッグを手に取った。
「迎えに来たって···」
「ほな、帰るで。家まで送ったるから」
さも当然とでも言うようなそうちゃん。
「え、ちょっと待って」
「何や?」と振り向くそうちゃんに、私は疑問を投げかけた。
「迎えに来てくれるのは嬉しいけど、大丈夫なの?お仕事は?」
「あぁ、今日は休暇。やから心配せんと、大丈夫や」
「でも」
「僕が好きでやっとる事や。それには病み上がりなんやから、甘えとけば良いねん」
そうちゃんの手が、私の手を掴んだ。