shooting star【怪獣/保科宗四郎/甘々】
第3章 自覚
「こんな所におったんか」
夕食前の散歩にと、リハビリのおかげで歩ける範囲が広がった私は病院の屋上へ来ていた。
ほんのり冷たい風が心地よく頬を撫でて通り過ぎて行く。
日はもうじき沈みそうだった。
そんな時、後ろからそうちゃんの声が聞こえて、私の胸が高鳴った。
(···そうちゃんだ!)
会いたくて、聞きたくてたまらなかった声。
振り向けば防衛隊の黒い制服に身を包んでいた。
「···、歩けるようになったんか」
お見舞いに来てくれたのであろうそうちゃんは、私にゆっくりと近づいた。
「うん」
そうちゃんが頑張ってるって思っていたら、いつの間にか私も頑張らなきゃって思ったんだよ。
「···良かった。ほんまに良かった···頑張ったな」
いつもは余裕そうなそうちゃんが、目を丸くしているのがなんだか嬉しくて、勝ち誇ったように笑えば、次の瞬間にふわりとそうちゃんの匂いがした。
「···そ、そうちゃん···!」
「じっとしとき」
驚いてしまって、胸の鼓動が早くなって、両手をさ迷わせていると、ただただそうちゃんにギュッと抱きしめられるだけの形に、素直に従った。
「は、はい···」
「ええこや」