第1章 出会い
「家帰りたくないなぁ~そうだ。寄り道して帰ろ」夢子はそう言うと車椅子を動かして道をふらふらしながら進んでいく。「あれ?こんなとこに洋服屋さんが……入ってみよ」夢子はゆっくりと店内に入る。「いらっしゃいませ~」と店員が挨拶をする。「わぁ、すごい!可愛い服がいっぱいある!」夢子は思わず目を輝かせる。「うーん、ちょっと独創的すぎる服も……でも、これはこれで可愛いかも」夢子はしばらく悩んだ末に服を買うことにした。「ありがとうございましたー!」夢子は買ったばかりの服を大事そうに抱えて店を出る。「早く帰って着てみよう!楽しみ~」と夢子が言うと突然目の前に影が現れる。「おい、お前」突然お店の扉の前にいた少年に声をかけられて夢子は驚く。「なんでしょうか?私に何か用ですか?」「その服買ってくれたんだろ?」「はい、そうですが……」「実はそれ俺がデザインした服なんだよ。俺ファッションデザイナーを目指しててさ~デザイナーの新人を育てるっていうこの店のキャンペーンで俺が選ばれたんだけど……買ってもらえるか心配で出口で買ってくれるかどうかずっと見てたんだよ」「そうだったんですね。とても独創的でいいデザインだと思いますよ!」と夢子が言うと少年は嬉しそうに笑う。「そうか!じゃあ、喜んでもらっていいってことだよな?」「はい!」「おぉ~嬉しいぜ~ノルマが達成したら夢をサポートしてくれるらしいし、これで夢に一歩近づけたぜ~」「ノルマ?一体なんのお話ですか?」夢子が不思議そうに聞く。「あ~実はこの店の店長から『このキャンペーンでノルマ達成したらこんな小さいお店じゃなくて、もっといいデザイナーや企業とかに紹介してくれる』って言われてさ。だから俺、頑張って服作ったんだ」「そうなんですか!それは良かったですね!私も服じゃないけどイラストとかキャラクターとか作るのが趣味なので応援します!」と夢子が言う。