第1章 出会い
「はぁ~、今日も疲れた~」「お疲れさま」「お母さん」「夢子、今日も絵を描いたの?」「うん。でも今日は少ししか描けなかったの。最近体調があんまり良くなくて……」「大丈夫?無理しないでね。何かあったらすぐに言うのよ」「うん、ありがとう。おやすみ」二人が家につくと母親はそっと部屋の扉を閉めた。そしてリビングに戻るとそこには父親がいてビールを飲んでいた。ーーー「おい、お前!俺の酒はどうした?」「もうありません。それにまだ飲むんですか?」「当たり前だろ!俺は酒がなきゃやってられないんだ!」「でも、あまり飲み過ぎないでくださいね。体に悪いですよ」「うるさい!俺に指図するな!!」父親は夢子の母親を殴り始めた。そして母親は泣きながら止めるが、父親はさらに強く殴り続けた。「や、やめてください!」と夢子も言うが父親には届かなかった。そしてついには夢子まで平手打ちをしてしまった。「ど、どうして……こんなことになるんですか?私はただ娘と買い物をしていただけなのに……」「黙れ!!」父親は今度は母親も殴った。母親はその場に倒れこんでしまった。「今日はこれくらいにしてください!お酒買ってきたから」夢子は震える手で車椅子を漕いで、父親に酒の袋を渡す。「チッ!分かりゃらいいんだよ」父親は夢子から酒の袋を奪い取ると二階の自室に上がっていった。