第48章 義勇の困惑 ― 亡き友への嫉妬
階下に降りるなり、義勇さんが私の前で立ち止まる。
彼は私の顔をじっと見つめ、その鼻先が触れるほど至近距離まで顔を近づけた。
「……。お前、何かあったのか」
「えっ、な、何もないですよ?」
慌てて目を逸らす私を、義勇さんは逃がさない。
彼は私の首筋に鼻を埋め、深く息を吸い込んだ。
「……お前から、懐かしい匂いがする。……あいつ(錆兎)の匂いだ」
義勇さんの瞳に、言いようのない焦燥と嫉妬が浮かぶ。
「あいつはもう、この世にはいないはずだ。それなのに、なぜお前はあいつに抱かれた後のような顔をしているんだ……。……許さない。幽霊だろうと、俺からお前を奪うことは許さないぞ」
義勇さんは私の腰を引き寄せ、実体のある自分の温もりを刻みつけるように、力強く唇を重ねてきた。
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