第42章 静寂の不安 ― 霞の中の無一郎
「……それで? 時透。一人で抜け駆けして、彼女を泣かせているのはどういう理屈だ?」
幸せな余韻に浸っていた私たちの背後で、「ピキッ」と空気が凍りつく音がした。
振り返れば、そこには日輪刀を構えた義勇さんと、額に血管を浮かべた実弥さん、そしてニコニコと笑いながら恐ろしい殺気を放つしのぶさんが立っていた。
「時透……。君が静かだと思ったら、一番卑怯な手を使い始めたね?」
「……。うるさいな。君たちには関係ないだろ。……は、僕と結婚するんだ。……ね?」
無一郎くんは私を背後に隠し、冷徹な瞳で柱たちを見据えた。
ついに、を巡る戦いは「共有」から「正真正銘の奪い合い」へと発展しようとしていたのであった。
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