第39章 太陽の告白と、拭えない違和感
謹慎が解けた翌朝、炭治郎くんは私を人気のない藤棚の下へ呼び出した。
彼の瞳には、いつもの慈愛だけでなく、一人の男としての固い決意が宿っていた。
「さん。俺は……これまでたくさんの人に支えられて生きてきました。でも、これからの人生、俺が一番支えたいのは、あなたなんです。俺と、家族になってくれませんか」
真っ直ぐな、一点の曇りもないプロポーズ。
本来なら、これ以上の幸せはないはず。
けれど、私の脳裏には、彼と肩を並べて歩むべき「本来のヒロイン」――カナヲちゃんの姿がよぎります。
(私がここにいることで、カナヲちゃんの未来を奪ってしまう……?)
私が知る「物語」では、炭治郎くんの隣にはカナヲちゃんがいるはず。
私がこの世界に迷い込み、彼らの愛を一身に受けている現状は、歪んだ幸福なのではないか。
そう思うと、胸が締め付けられるような罪悪感と、やり場のない悲しみが込み上げてきた。
涙を堪えて俯く私に、
一羽の蝶が舞い降りるようにしのぶさんが現れました。彼女は私の複雑な心境を、その鋭い観察眼ですべて見透かしたようで。
「……さん。貴方は優しすぎます。自分の幸せよりも、他人の『運命』を優先しようとしているのですね?」
「しのぶさん……私は、どうすればいいのか分からなくて……」
しのぶさんは私の肩を優しく抱き寄せ、炭治郎くん、そして少し離れたところでこちらを不安そうに見つめていたカナヲちゃんを呼び寄せました。
「炭治郎くん、カナヲ。……さんは今、とても臆病になっています。ですから、一つ提案をさせてください。今日から数日間、三人で一緒に過ごしてみるのはいかがでしょう?」
「えっ、三人で……ですか?」
「ええ。三人で食事をし、三人で語り合い、三人で寄り添うのです。……運命だの物語だの、そんな不確かなものではなく、今、隣にいる人の『温もり』を、さんに直接感じてもらうために」
しのぶさんの気遣いに心が軽くなるのを感じた。
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