第8章 新月の夜
次の日の朝、蛍よりも先に家を出て、学校に向かう。だけど、蛍はすぐに追いかけてきた。
「ちょっと話あるんだけど…」
「…うん」
本当はこんなところを両親に見られてはいけない。でも、頷かずにはいられなかった。蛍の顔があまりにも真剣だったから。
まだ登校する生徒たちがいない通学路を歩きながら話す。忠と合流する分岐点まで、私たちは兄妹じゃない。
「あのさ、昨日はごめんね。怖かったでしょ…もう揺を怖がらせない。だから…兄になる前に言わせて……」
蛍はそこで一度、言葉を切った。
「ずっと……きっと、物心がつく前から――菅原揺が好きだった。森川揺も好きだった。月島揺はこれからも好きだよ。兄として、僕は君を愛してる」
初めて蛍から紡がれた愛の言葉。ぎゅっと拳を握った。
「ありがとう。私も蛍のことを――これからは妹として愛すよ。たぶん…蛍のことを好きだったことあるよ。今まで、本当にありがとう。傍にいてくれてありがとう」
私を愛してくれたあなたに、最高の感謝を__。