第6章 惑わす影
冷房が効いているはずの部屋の温度が上がっていく。熱い吐息と熱い吐息が混じって、またお互いに飲み込んだ。お互いの唇が重なって閉じられた中で、くちゅくちゅと厭らしく水音を立てながらぬるぬると絡まる舌に縋る。
飲み切れなくなった唾液が口の端から零れて、頬を優しく掴む指に掬い戻される。たまに上顎を擽られる感覚に、身体が大きく反応した。
ゆっくり離れた舌が顎を舐め上げて、首に落ちる。次の瞬間、チクッと痛みが走った。また跡を残されてしまった。
「はぁ……ここのキスマ、俺じゃねぇ」
「え?あるの?」
頷いた飛雄くんを見て、機嫌が悪いのはそれのせいだと気付いた。いつの間につけられていたのだろう。きっと、蛍だ。つけられた記憶がないので、寝てる時かもしれない。
謝ると優しく笑った飛雄くんに、心臓が跳ねた。
「いいよ。もう俺のもんになった」
意地悪な笑みを浮かべ、何度も首に吸い付いてくる。Tシャツを捲られれば、ブラから覗く膨らみにも花を散らせた。
「っ…見えるとこは、あんまり…あっ」
「わかってる。俺しか見ねぇとこにつけっから」
もう首につけてますけど…。膨らみに吸い付いていた唇はいつの間にか舌に変わり、親指でブラを捲って突起に這わせた。