第1章 この呪いをかけたのは、彼の実の妹だった。
再生魔法は、基本的に物が壊れた時に使う魔法だよ。
生物には効かない……はずだったんだけれどね。
キャロルは、再生魔法、治療魔法、封印魔法を組み合わせて、新しい魔法を作ったんだ。
それが「不死の呪い」と言われている魔法さ。
何故、魔法なのに呪いと呼ばれているのか……
簡単な話だ。
死ねないからだよ。
この世に存在する全てのものは、いつか寿命を迎える。
遅いか早いかの違いだ。
キャロルの兄は死ななかった。
死ねない体になった。
人生は不平等でね。
キャロルの兄は結婚して、実家を出て、子供も作ったんだ。
本人は事件なんて、なんにも気にせず、のうのうと生きていた。
奥さんと子供と、三人で仲良く暮らしていたそうだよ。
そんなキャロルの兄の家が、燃えたんだ。
夜中、家族全員が寝静まっている時に。
家は全焼して、中から焼けた人間が出てきた。
三人の人間。
しかし、奇跡的に一人は生きていた。
何も知らない人からすれば、本当に奇跡さ。
その生きていた人間は、勿論キャロルの兄だ。
キャロルの兄は、喉が焼けても、肌が爛れても、煙を吸っても、死ねなかったんだ。
再生して、回復したからね。
再生して回復すると言っても、作りが複雑なものや大きなものは時間がかかってしまう。
すぐには回復しないんだ。
しかも、年を取るごとにケガの治りは遅くなるからね。
キャロルの兄が、あの火事で負ったケガを全て治療するのに、二十年以上かかったらしいよ。