第1章 この呪いをかけたのは、彼の実の妹だった。
私の例えが分かりにくいなら、実際に君がやってみるといい。
魔法同士を組み合わせると暴走するし、最悪死ぬんだ。
治療魔法を同時に使うと、老いが進む現象も、魔法の暴走さ。
キャロルの魔法の凄さで、キャロルの兄は長年苦んでいる。
炎に包まれても死ねない。
水に沈んでも死ねない。
切られても死ねない。
体が腐っても死ねない。
不死なだけで、不老ではないからね。
老いで動けなくなったキャロルの兄の面倒を、誰が見ると思う?
妹のキャロルかい?
キャロルは兄に魔法をかけた後、父親を殺めて牢屋に入ったよ。
キャロルの兄は五年で出てこれたのに、キャロルは死ぬまで牢屋に入れられたんだ。
被害者が生きてるか死んでいるかで、違うんだろうね。
……おや?
キャロルが何故、父親を殺したのか……?
ふふふっ。
キャロルの兄がアレだからね。
父親も、ロクでもない人間だったらしい。
「子供のやった事なんだ、大目に見てやってくれ」
だなんて、両手両足切断された人の両親に、よく言えたね。