【ハイキュー!!】矢印の先に、俺(私)はいない【R指定】
第4章 The Line Between Us
仁美の胸の奥で、何かが軋むように痛んだ。
ずっと黒尾ばかりを見てきた視線の先に、研磨は確かに、ずっといた。
仁美の家の前に差しかかると、街灯の下に、ひとり立っている人影があった。
その姿を見た瞬間、仁美の心臓がぎゅっと縮む。
黒尾だった。
制服のままポケットに手を突っ込み、どこか所在なげに佇んでいた黒尾の目が、こちらを捉える。
そして––––繋がれたままの2人の手に、はっきりと視線が止まった。
「……なに、それ。」
わずかに眉間が寄る。
笑っているわけでも、怒鳴っているわけでもない。
でも、黒尾の声には、抑えた苛立ちが混ざっていた。
「どこに行ってたの?」
その言葉が夜の空気を裂く。
静かだった夜が、一瞬で重たくなる。
仁美は咄嗟に言葉を探したけれど、喉が強張って何も出てこなかった。
その沈黙を破ったのは、研磨だった。
「……ずっと、体育倉庫にいた。」
黒尾の眉が一瞬ぴくりと動く。
仁美と目が合った。
その視線で黒尾は全て悟った。