【ハイキュー!!】矢印の先に、俺(私)はいない【R指定】
第15章 Loving Them Is Ruining Me
カップが二つテーブルに置かれ、湯気が立ちのぼりスプーンが小さく音を立てる。
けれど、二人はすぐには口をつけなかった。
昨日までの出来事が、言葉にされないまま、テーブルの上に横たわっているみたいだった。
研磨はカップに指を添えたまま何も言わない。
仁美の方から話し出すまで、ワザと自分からは何も聞かないと決めていた。
視線だけを、静かに 仁美 に向けた。
仁美 の視線は、ずっと手元のコーヒーカップに落ちていた。
湯気の向こうで揺れる茶色の液体を見つめたまま、指先だけがカップの縁をなぞっている。
しばらくの沈黙のあと、仁美 は小さく息を吸って、ようやく口を開いた。
「……ごめん。」
研磨は一瞬だけ瞬きをする。
「……なにが?」
責めるでもなく、慰めるでもない、ただの疑問の声だった。
仁美 は少し迷うように唇を噛んでから、ゆっくりと言葉を紡いだ。
「三年間……研磨のこと無視してたわけじゃない。連絡したいって思う時もあった。……でも、最後があんな終わり方だったから。自分から連絡するの、怖くて……出来なかった。」