【ハイキュー!!】矢印の先に、俺(私)はいない【R指定】
第15章 Loving Them Is Ruining Me
――それは、嘘じゃなかった。
三年間ずっと好きだった。
忘れたことなんてなかった。
でも。
黒尾と「こうなりたかった」かと聞かれたら、それは、違う。
欲しかったのは、取り戻すことじゃなくて、埋め合うことじゃなくて、壊れた場所を無理やり繋ぐことでもなくて。
もっと、別の何かだった。
けれど黒尾は、やっと手に入れた幸せに目を奪われている。
縋るように、確かめるように、抱きしめて。
仁美 の表情の奥にある迷いに、気づかない。
仁美 の家の前に着くと、黒尾はようやく手を離した。
名残惜しそうに指先が絡まり、ほどける。
「また会おうな。すぐ。」
当たり前みたいに言われた約束に、仁美 は小さく頷いた。
黒尾は満足そうに微笑んで、手を振る。
ドアを開ける直前、仁美 は一度だけ振り返った。
そこにいたのは、安心しきった顔の黒尾。
それがなによりも、胸に重く残った。