【ハイキュー!!】矢印の先に、俺(私)はいない【R指定】
第15章 Loving Them Is Ruining Me
「……着替えるから。二人とも、外に出て。」
仁美 の声は低く、けれどはっきりしていた。
研磨と黒尾は一瞬だけ視線を交わす。
先に動いたのは研磨だった。何も言わずに立ち上がり、ドアへ向かう。
黒尾は一拍遅れてから、名残惜しそうに仁美を見て、ゆっくりと背を向けた。
扉が閉まると残された部屋の中で、仁美は小さく息を吐いた。
研磨が置いていった服に手を伸ばす。
布の感触が、現実を引き戻すようだった。
何も考えないようにシャツを通し、腕を通し、ボタンを留める。
下着に触れる指先が一瞬だけ止まって、それでも何も考えないようにして身につけた。
全部を着終えた頃には、胸の奥に重たいものだけが残っていた。
ドアを開けて廊下に出た瞬間、黒尾がほとんど反射みたいに振り向いた。
そのまま、迷いなく距離を詰めてくる。
「……帰る。」
仁美がそう言うと、黒尾はすぐに答えた。
「送る。」
そう言った黒尾を見て、仁美は断っても無駄だとすぐに分かった。