【ハイキュー!!】矢印の先に、俺(私)はいない【R指定】
第6章 No One’s Yours
次の瞬間、彼は再び仁美を抱き寄せ、唇を重ねた。
キスはさらに深く、長く、熱を帯びていく。
研磨の指先が背中に触れるたび、肌の奥まで感情が沈んでいくようだった。
そのまま、彼の手に導かれるようにして、仁美はベッドの縁に腰を下ろす。
唇が離れるたびに、小さな吐息が重なる。
「……研磨……。」
仁美はその胸に手を当て、震える声で囁いた。
「クロ……帰ってくる……。」
研磨の指が仁美の頬をそっと撫でる。
「––––来ないよ。」
「……え?」
「賭けてもいい。もしクロが帰ってきたら……そのときは、素直に殴られるよ。」
言い切る声が、やけに穏やかだった。
仁美は息を呑む。
研磨はその動揺ごと包み込むように、もう一度唇を重ねた。
彼自身の気持ちを押し出すような、情欲のこもったキスだった。
仁美の心の奥では、まだクロを信じている部分が確かにあった。
彼が研磨と自分を二人きりにするはずがない。
きっと–––––帰ってくる。