第2章 偽りの肌
甚爾は片手で澪の両手首をまとめ上げ、壁に押し付けた。
甚「これで動けねぇだろ。……ほら、もっと素直になれ。」
自由を奪われたまま、唇が容赦なく重なる。
舌先が躊躇なく侵入し、逃げようとする動きを追い詰めて絡め取る。
呼吸を奪われ、胸の奥が熱くなる。
甚「……はっ、顔真っ赤だぞ。」
唇を離した甚爾は、至近距離で澪の表情を観察するように見下ろす。
その視線は、まるで逃げ場を許さない捕食者のようだった。
甚「良いな、その顔……もっと見せろ。」
強引に腰を引き寄せ、身体の曲線を確かめるように手が這う。
その動きは乱暴でありながら、意図的に快感を混ぜ込む計算された支配だった。
甚「お前が何考えてんのか、全部ここから分かる。」
胸元に触れる指がわずかに動き、その瞬間澪の呼吸が揺れる。
それだけで、甚爾の笑みはさらに深くなる。
甚「……ほら、声出せよ。」
低く命じる声は、拒否を許さない響きを持っていた。
その圧に、澪は唇を噛んで耐えようとするが――
甚爾の手は容赦なく続き、わざと反応を引き出そうとする。
甚「我慢すんな。……それ、俺を煽ってるだけだぞ。」
耳元で囁きながら、さらに距離を詰める。
皮膚が触れ合うたび、支配と快感がないまぜになって逃げられないほど絡みついてくる。
甚「なぁ……お前、もう俺のもんだって自覚あるか?」
顎を指で持ち上げ、また唇を重ねる。
そのキスは先ほどよりもさらに深く、支配的で徹底的に抗えないものだった。