第2章 好きな色
★side女湯
「ムッツリて…。
でも下着は買いに行きたいんだよね。野薔薇ちゃん、都合いい日ない?」
「それなら明日買えばいいじゃない?男どもとは別行動で。あとから合流したらいいでしょ?」
明日はみんなそろって久しぶりのオフ。元々四人で都内に買い物がてら出かける予定だった。
「伏黒ってどんなのが好きなのよ?」
「えええ…?聞いたことないよ…」
「まぁ男なんてセクシー系選んどけばいいか。レースとかちょっと透けてるのとか。
あんた無難なのしか持ってないでしょ?」
「そんなことないよ。今日持ってきたのはフロントホックで背中のデザインがかわいいの」
「へぇ、ちょっと楽しみ」
☆side男湯
「伏黒、フロントホックって何?何!?」
「知るわけねぇだろ!俺はもう上がるぞ!」
違う意味でのぼせそうだ。
鈴の下着姿なんて見たこともなければ、想像したこともないのに。
セクシー系の下着なんか着られて迫られた日にはどうすればいい。
追いかけてきた虎杖と温泉から上がって、コーヒー牛乳を飲んで一息ついていると鈴と野薔薇が上機嫌で話しながら上がってきた。
「伏黒くん!待った?」
「いいや」
ネイビーにピンクのラインが入っている彼女お気に入りのジャージに、白地のTシャツ。隠しきれない首元から浮き出る鎖骨と、赤いブラの肩紐。
さっきの会話の内容を思い出して、また顔が赤くなる。
これじゃ釘崎が言う通り、スケベな奴みたいだ。
「顔赤いよ?のぼせた?」
「まあ、そんなとこだよ」
鈴は特に気にした様子もなく、野薔薇に誘われてコーヒー牛乳を買いに行った。