第9章 夏日
「いやぁーーー!!!!!」
男子寮に響き渡る悲鳴。伏黒はダッシュして部屋に戻る。
「何してんだよ!!?」
「いや、違くない?俺、悪くなくない!?」
思い切り頭を殴られた虎杖はうずくまりながら非難の声を上げる。完全にもらい事故。
「だから、下履けっつたろ!?」
「ごめん…」
「俺にも謝って…」
「虎杖くん、ごめんなさい!」
急いで床に落ちていたショートパンツを履いた鈴は虎杖に向かって深々と頭を下げる。
広く開いた胸元から豊かな胸の谷間が見えて、虎杖は思わず顔を覆った。ありがとうございますと、この親友の彼女にはもう拝みたい。
「もうサービスショットはいいんで…」
「見てんじゃねぇよ!!鈴、着替えろ!」
「はい!」
鈴は大慌てで洗面所に駆け込んだ。
「だから、俺悪くないよな?」
「見たんだから悪いんだよ。大体朝っぱらから何の用だ?」
もう一発伏黒に殴られた虎杖はどうにも納得いかないが、用件を思い出した。
「五条先生が至急で来いって」
「なんであの人いつも急なんだよ…」
文句を言いながら渋々伏黒は身支度して、虎杖と部屋を出る。気まずいのか鈴は洗面所から出てこなくなった。
「伏黒だけ男のロマンみたいな生活してるズルいな」
「なんだよ、それ?」
「五条先生の話終わったらさ、レンタルDVD借りに行きたいから付き合ってくんない?」
「ああ…」
そわそわしている虎杖が見たいDVDの内容が脳裏に浮かんで、思わず舌打ちした。責任の一端はあるし断って五条にばらされでもしたら余計めんどくさい。
結局このクソ暑い夏日に窓もカーテンも閉め切って、えっちなDVD鑑賞にも付き合わされる羽目になった。