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伏黒くんと。【呪術廻戦】

第7章 メイドカフェ ※



(呪霊ってどこにいるんだろう。遠くから視線だけを飛ばせるとか、そういう術式なのかな……)
 五条に言われた通り、店の中で呪霊を探すがなかなか見つからない。残穢もイマイチはっきりしない。
 
「蓮見さん、今日はもう上がっていいよ」
「はい。私ついでにゴミ出ししときますね。裏口でいいんでしたっけ?」

 店は閉店の時間になって、後はオーナーが戸締りをするだけになった。
 鈴はゴミを持って裏口へ向かう。元々店員が出入り口として使っていたが、ストーカー事件以来表だけから出入りするようになって、今はゴミ出しぐらいにしか使わないという。

(なんか嫌な感じだな。早く戻ろうっと)
 裏口は表通りと違って薄暗く人通りも少ない。ゴミ出しを済ましたらすぐに戻ろうとした鈴の耳に、鈍い声が届くと同時にいつもの視線。

「……チャン、コンバンワァ…」

 ぶにぶにとうごめく黒い物体の中の大きな目玉がひとつ、ぎょろりと鈴を捉えた、視線の主の呪霊に違いなかった。

(…呪霊!!三級?二級?)

 二級だったら分が悪い。呪符を取り出すのを一瞬迷ったタイミングで、ドロドロした腕みたいなものに体ごと捕まれ、取り込まれそうになる。

「やめてよ!」
 呪符が取り出せなくて、抵抗する術がない。絶対絶命かもと覚悟したとき、一番頼りになる人の声がした。

「鵺!」
 鳥の式神の電撃が呪霊を襲う。力が緩んだ隙に鈴は必死に呪霊から距離を取った。すかさず伏黒の隣にいた渾が飛びかかり、強力な爪で呪霊を引き裂いた。

「ギアァァァ……!!!」

 この世のものとは思えぬような奇声を上げて、呪霊は夜の闇に紛れて消えていった。
 
 地面にしゃがみ込んでいた鈴は深い息を吐く。
「大丈夫か?」
「…うん。ありがとう、伏黒くん」

 ほっとしたような顔の中に潜む、刺々しい空気。引っ張って立たせてくれたものの、なんだか乱暴で目も合わせてくれない。いつもの優しい彼じゃない気がした。

(あれ、何か機嫌悪い…?)

 伏黒に急かされるように店に戻って、オーナーに挨拶してメイド服のまま慌てて店を出た。
 五条に電話したけど繋がらなくて、呪霊の報告は明日することにした。

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