• テキストサイズ

彼らの手と、私の心

第1章 プロローグ ― 彼らの手と、私の心 ―


指先に、まだ熱が残っていた。
それはきっと、彼らの手のせいだ。

髪をすくう手。
グラスを磨く手。
ギターを鳴らす手。

どの手にも、それぞれの温度があって、
触れられるたびに心が少しずつ揺れていく。

優しさだと思っていた仕草の中に、
どこかで私だけに向けられたものがあったのかもしれない。

彼らの手を思い出すたび、
胸の奥がじんわりと熱を帯びる。

恋なのか、憧れなのか、まだ分からない。
けれど──
その温度を、もう少し確かめたくなった。
/ 9ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp