第9章 【闇夜の太陽/2章:ロー落ち編】08話
今も[ワノ国]への航行中。長らく鎖国してる島だけはあって、幻の国の[ゾウ]ほどではないにしても彼の国に向かうのも容易ではない。航路の整備がされていない状態の海は思ったよりもキケンが多かった。
だけれども有能な人が多いので特に問題になることもない。それで穏やか?な中でヒマを持て余しているクルー達や客人達の意向が一致したようで『ハートのクルーに剣術を教えるゾロと錦えもん』の姿が船内の色々なところで見受けられる光景になっている。
どうやらアルタイルは[剣術に関わること]を好んだようで、鍛練風景をよく見たがっていた。たまに喜んで拍手なんかもする。それを見たローくんが嬉しそうに『もう少ししたら絶対に教える』とかつぶやいていた。そんなある日のこと。
「……━━━」
「どうしたの」
「マジメな話してェんだけどイイか?」
真剣な顔の彼にうなづくと、ローくんは部屋にあるミニ冷蔵庫から飲み物を二人分出してグラスに移しながら、ソファに座った。
(ふふ、デジャヴだ。ローくんがそんな顔をしてるんだよね。どうしたんだろ?)
「……聞きてェのはお前とコラさんのコトだ」
「………………………………………」
「ハナシを聞く限りはお前、色んな能力も使いどころも人生すらもコラさん中心にしたんだよな?」
「え?それはローもじゃん。恋愛感情が合っても惜しくないくらいだよね」
「…………いや、それはお前だろ」
「そういうコトにしとくよ、ローくん」
悪どい顔で笑って見せれば、腑に落ちない顔をしていたので、それ系の自覚はないのかも知れない。
「……べつにおれのことはイイんだよ。お前達の話だ」
「少し待って……」
(いつかは話すと思っていたから、しっかり覚悟はしてたんだよね。……よし)
「いいよ、なんでも聞いて?」
「おう。まず━━━がおれを好きなのは疑ってネェ。全てがおれを『好きだ』と言っている」
「……言われるとはずかしいんだけど?」
「あ、悪ィ悪ィ。んで………あんなに好きだったのに『おれでイイのか?』とか『ここにいて大丈夫なのか?』とかが気になる。……………要は不安なんだよな、おれが」
「ロー…………」
「抱きしめてキスしてもイイか?」
不安気な顔で笑うのが儚い。なんかたまらなくなって私からした。腕の中で優しく口づけを落とす。
