第5章 ダークホース
個室のドアから覗かせてきた顔が男やった。
「お。噂の南波くんかぁ。どーも、芹沢です。って知らないか。」
知っとる。
めちゃくちゃ知っとる奴。
しかも一番あかん組み合わせやん。
どうゆうことやと古村に視線を送ったが、彼女もヤバいものを見せという様子やった。
…もしかして、付き合っとんのか?
古村がそんなすぐに告白できる肝っ玉は絶対ない。
だとしたら先輩か?あいつが既に告白した?
状況を飲み込めずに固まった自分を、一緒に来ていた先輩に声をかけられ引き戻される。
「南波、どうした?隣に知り合いでもいたか?」
「いや、なんでもないです。」
扉を閉めて、ぐちゃぐちゃになった感情を落ち着かせる。