第5章 ダークホース
一人、街中を歩いて駅へ向かう。
人通りが少ない中で、自分だけの歩く音が響き渡った。
……めちゃくちゃ大人気ないことしてる。
雰囲気をぶち壊すと理解していたのに、感情が何故か抑えられなかった。
28歳にもなってこうも子供じみた部分があったとは…。
自分は割と真面目に周りの雰囲気も考えて生きていたつもりだった。
ブー、ブー。
突然、鞄に入れていたスマホが鳴る。
ディスプレイを確認すると、南波くんから着信がかかってきていた。
店出た瞬間に電話鳴らすって…。
しかし、今は彼と話せば自分でもよくわからない怒りをぶつける可能性がある。
むしろ、あのまま彼女と仲良く話を続けていればいい。