第5章 ダークホース
ああああああ。
本当に見られてた。
適当に誤魔化せる範囲じゃない。確実に黒の情報だ。
「そーなんや。で、"古村さん"。誰に告白されたんか、俺も知りたいねんけど教えてくれへんかなぁ〜??」
「村瀬も気になります〜!先輩、あのちょっとダウナー系なカッコいい男性社員は誰なんですか?」
二人してお互い違う意味でニヤニヤしながらこちらに視線を向けてくる。
穴があったら入りたいとはまさにこの事だと思った。
「せ、芹沢先輩です…。」
聞き取れたか曖昧な、微かな声で答える自分。
いつも豪快に飲んでいるビールも、今は喉を通らない。