第4章 モテ期襲来
見ているのは俺と付き合っている自分。
「そんな関係に何度も肩を落として、仕舞いにはヤケになって三人同時に付き合って浮気してたよ。でもびっくりでさ、誰にも気づかれなかった。本当に俺のこと見てなかったんだよね。」
懐かしいなって顔で淡々と語る。
そんな先輩の境遇に胸が締まった。
モテるってことに対して、私の中では素敵な恋愛をたくさんしていたんだと勝手に想像していた時期があったけど、少なくとも先輩は、そんな想像とは真逆の人生を歩んでいる。
「だから、こんなに男が多い部署で誰かに媚びるわけでもなく仕事に一戦集中していた古村さん見てさ、最初はちょっと不思議だなって思って見てた。気づいたら少し話してみたくなって、でも、女性に自分から声かけることなんて殆どなかったなら、どう声かけようか悩んでさ…。」