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❁✿✾ 依 依 恋 恋 ✾✿❁︎/イケメン戦国

第3章 依依恋恋 三話



不思議そうな家康と、淡々とした表情のままで腕を緩く組む兼続。毛色がまったく異なる二人の反応へ画面の電源を一度落とした凪が、端末を置いて顔を上げる。

「先生がもうプロット上げたって。幾ら何でも早すぎでは……!?それとも人気作家ともなると、この位のペースって普通なんですか?」
「……まあ光秀さんだから」
「光秀殿ならばあり得なくもないだろう。社としても取り掛かりが早い方が何かと助かる。あらすじの確認ついでに絵師候補へ渡す登場人物の外見的特徴も光秀殿へ希望を訊いておけ」
「ま、待ってください!ちょっとメモ取ります……!!」

何故か凪をまじまじと見て、家康と兼続が同じような感想を漏らした。早い段階で原稿へ本格的に取り書かれるのは悪い事ではない。作家の創作意欲の妨げにならないよう、サポートするのも編集者の役目なのだ。兼続に言われた事をメモアプリへ打ち込んだ後、途中であった資料の読み込みを急ぐ。ひとまず問題ない事を確認した後でプリントアウトし、それを兼続へ渡した。

「兼続さん、すみませんがこれ、豊臣部長へ渡しておいてもらえますか?」
「分かった。光秀殿へ返事はしたのか?」
「これからです。今からだと四十分以上はかかりそうですよね……あ、昨日の御礼に手土産も何か買って……」

オフィス内には続々と社員が出社し始め、始業の支度へ取り掛かっている。秀吉へ資料の受け渡しを頼んだ後、時計を確認してから端末を手に取った。光秀の自宅までは会社から二十分程度、駅までの移動などを加味すれば、四十分前後はかかる見込みだ。ついでに先日の礼として何か手土産を買いに店へ立ち寄るとなると、更に時間が押す事が見込まれる。

(取り敢えず先生に返事しなきゃ!えーと……)

【明智先生、お疲れ様です。もうプロット完成したんですね!早くてびっくりしました……!では十一時頃にお伺いしてもよろしいでしょうか?】

些か緊張しながらも返事を素早く打ち込み、その間に持ち出す資料などをファイルケースにまとめた。あれこれと持って行くべきものを厳選している内、再度デスク上へ置いた端末が微かに震える。

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