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❁✿✾ 依 依 恋 恋 ✾✿❁︎/イケメン戦国

第3章 依依恋恋 三話



【昨日、お前と打ち合わせたお陰で話作りが思いの外捗(はかど)ってな。こちらはいつでも構わない。あまり急がず、気を付けておいで】

ブブ、と小さく手元の端末が震え、光秀からの返信の後に白い狐のスタンプが送られて来た。ちょこん、とお座りをした状態の狐の頭上には【待っている】と筆文字のフォントで一言が添えられている。

(明智先生……スタンプ可愛い……)

アイコンも狐でスタンプも狐、著書の自画像も狐である事から、もしや光秀は相当な狐好きなのではなかろうか。凪の中に新たな光秀情報が刻まれる中、はっとした様子で彼女が家康を振り返る。

「家康……!先生と腐れ縁って言ってたよね?好き嫌いとか、食の好みって知ってる?」
「あの人の食の好みを訊く方がどうかしてると思うけど」
「?どういう事……?」
「何でもない。強いて言えば、手軽に食べれて腹持ちするものじゃない」
「それって好みっていうのかな……!!!?」

簡単なようで難しい光秀の好みへ思わず突っ込むと、凪が悩むように眉を寄せた。手軽と言えば予め小分けになっているか、切り分けられているものだろう。だが腹持ちとは一体。そもそもスイーツ系で腹持ちに重点を置いたものなど存在するのか。一頻(ひとしき)り悩んだ後、凪はひとまず必要な荷物類をまとめてバッグへ収め、時計を確認した。現在、時刻は午前九時三十分────駅前にあるデパートで手土産を見繕い、光秀の自宅へ向かうにはちょうどいい頃合いだ。

「取り敢えず、何とか頑張って探してみるよ。ありがとうね、家康」
「わざわざ礼を言われてる事でもないでしょ」
「貴重なアドバイスだから!じゃあ兼続さん、少し出て来ます」
「ああ、気を付けて行け」

バッグと端末を手にし、凪が二人へ声をかけてデスク前を離れた。急ぎ足でオフィスを後にするその後姿を見送り、家康がふと浅い溜息を漏らす。

【現世】の凪と出会ってからかれこれ三年弱、ただの同僚や友人という関係性でいるには、如何(いかん)せん想いを長く引きずり過ぎた。

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