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❁✿✾ 依 依 恋 恋 ✾✿❁︎/イケメン戦国

第3章 依依恋恋 三話



隣の席へ出社して来たのは兼続だ。普段は凪達よりも早くにやって来て、誰よりも先に仕事をしている兼続がいない事へ密かに疑問を抱いていたが、謙信の見送りだったとは。ちなみに謙信は天下統一出版社における共同経営者の一人だ。事実上代表取締役は信長になっているが、謙信とそして信玄がそれぞれ共同経営者となっており、信長とほとんど変わらない権限を持っている。

尚、各人の経営理念も微妙に異なっており、それぞれ信長が安土派、謙信が越後派、信玄が甲斐派と呼ばれる派閥を統括していて、自身の賛同する者の派閥に社員達が属しているのが天下統一出版社の特徴でもある。凪は無所属派で、兼続が越後派、家康は安土派に属していた。

「安芸(あき)だ。謀神(はかりがみ)出版社の代表取締役との商談へ向かわれた」

(いつ聞いても怪しい社名だなあ、謀神出版……)

謀神出版は安芸の地を拠点として展開している出版社で、【血が滾(たぎ)るどでかい知識の花火を上げろ】という中々に攻めた社訓である事でも有名だ。代表の毛利元就はやり手の経営者であり、他にも謀神マート(スーパーマーケットチェーン店)、謀神バーガー(ファーストフードチェーン店)など様々なジャンルにも積極的に進出し、数々の業績を残している。余談だが謀神バーガーのキャッチフレーズは【騙し尽くされる美味さ】らしい。

「あの軍神にまともな商談なんて出来るとは思えないけど」
「社の為ならば有益な条件を引き出し、必ずや軍配を上げられる。不敬な物言いは控えてもらおう、徳川家康」
「も、もしかして佐助くんも一緒ですか?だとしたら尚更安心ですね」

家康が何処となく胡乱(うろん)な眼差しを向ければ、兼続はその整った芸術品の如き美貌を僅かに顰めた。兼続の謙信信者振りを知らない者はこの社内には一人としていない。元々家康とは派閥が異なる事も相俟って、一触即発の雰囲気になりそうな気配を察知すると、凪が慌てて話題を変えた。

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