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❁✿✾ 依 依 恋 恋 ✾✿❁︎/イケメン戦国

第3章 依依恋恋 三話



自分なんかが相手にしてもらえる訳がない────光秀を前にすると、そんな気持ちが何故か自然と湧き上がって来るのだ。

「もしかして家康も一度担当した事あるとか?」
「いや、そういう訳じゃないけど……あの人とは腐れ縁みたいなものだよ」

光秀と面識があるという家康へ首を軽く傾げると、彼は僅かに翡翠色の眸を伏せて呟いた。その声色が単なる知り合いに対するものとは異なるように感じられて、凪が首を傾げる。

「家康……?」
「いっそ、あの人が綺麗さっぱり忘れてるなら、俺も心置きなく出来たんだけどね」
「……?」

小さくかすれた声で呟いた家康の眸が凪を映した。果たして彼が何を言っているのか理解出来ず、凪が困惑を露わに眉尻を下げる。その表情を前にして、やがて家康が毒気を抜かれたように視線を外しつつ浅い吐息を漏らし、目の前にあるノートパソコンを立ち上げた。おそらくこれ以上訊ねても、家康は何も答えないだろう。そう察した凪もまた、自身の端末を立ち上げる。

「よし!昨日先生からもらった大まかな内容の報告書、見直してから豊臣部長に提出しないと」
「へえ、もう上がったんだ。昨日の今日で早かったね」
「先生がその場で話をまとめてくれたから。もっと簡単で良かったんだけど、結構具体的にお話してくれて……家康はどうだったの?昨日は石田先生のところに行ったんでしょ?」

報告書用のアプリを立ち上げ、保存をかけていたデータを読み込む。ぱっと画面が切り替わったのを視界の端に入れながら凪が何気なしに問えば、それまで普通であった家康の眸が剣呑な色を灯して半眼になる。

「……あいつの話は止めてくれる?」
「え゛……い、一体何が……?」

すっと家康の周囲だけ気温が下がったように感じられ、凪が微かにたじろいだ。怖怖した様子で隣の席の相手を見れば、やはり据わった目のままで家康がマウスを握る片手に力を込める。

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