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❁✿✾ 依 依 恋 恋 ✾✿❁︎/イケメン戦国

第3章 依依恋恋 三話




「あ、家康おはよう……!」
「凪、おはよ」

出社して早々、見知った顔を見つけて凪が声をかけた。家康は凪の一年先輩だが、入社以前の大学時代に薬草サークル交流会で出会った仲だ。大学自体は違うものの、妙に馬が合って度々集まり以外でも個人的に交流していたのだが、まさか同じ会社に入社していたとは、と当初はたいそう驚いたものである。

各部署ごとのオフィス内には小さなセルフカフェスペースが設置されていて、社員にもかなりの好評を得ていた。有名ブランドのコーヒーメーカーや良質な豆、あるいは紅茶や煎茶類まで、様々な飲料を網羅しているそこで茶の支度をしていた家康が、彼女へ軽く振り返る。

「あんたも飲む?」
「いいの?じゃあお願いしようかなあ」
「かふぇおれでしょ。毎日飲んでてよく飽きないね」
「家康だっていつも玉露飲んでるでしょ」

急須で注ぐ玉露とは異なり、カフェオレはマシンの下へカップをセットして、パネルでカフェオレを選択するだけだ。ミルク量や甘さなど、細かに設定が出来るとあって凪自身、出社後の一杯はカフェオレと必ず決めている。凪が言うまでもなく、家康が彼女のよく設定しているミルク量や甘さ調整を操作して、パネルを押した。微かな電子音と共にマシンが作動するのを聞きながら、凪が感心を露わに家康を見る。

「家康、よくミルク量とか甘さとか細かい設定知ってたね?もしかして実は家康も隠れカフェオレ好き?」
「何それ。俺はこんな南蛮かぶれの飲み物なんて飲まない。……毎朝あんたが馬鹿の一つ覚えみたいに選んでるんだから、その位は知ってて当然でしょ」
「南蛮かぶれ……たまには異国にかぶれてみるのも悪くないよ?」
「機会があればね」

ピー、という完成を知らせる電子音が鳴り響き、凪が自分用として持ち込んだ白いカップが、家康から手渡される。四月の下旬とはいえ、まだ午前中は微妙に肌寒い事もあり、朝の一杯目は大抵ホットだ。

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