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❁✿✾ 依 依 恋 恋 ✾✿❁︎/イケメン戦国

第2章 依依恋恋 二話



「ではどんな男が好みなんだ。意地悪がお好みでないとなると、少々困りものなんだが」
「どうして先生が困るんですか。そもそも、私の好みは今は関係ないと思うんですけど……」
「なに、深い意味はない。新しい担当殿と親睦を深めようと思ったまでだ」
「……私、どうして明智先生が他の担当さん達から【惚れれば地獄】って呼ばれてるのか、何となく分かったような気がします」
「言っておくが、俺から手を出した事は一度もないぞ」

一応担当と作家という立場がある為、あからさまに不審感を露わにしている訳ではない。が、凪の光秀へ向ける眼差しは心なしかじっとりとしていた。警戒心の強い野良猫を、ゆっくりと餌付けして手懐けている心地になりながら、光秀がゆるりと肩を竦めてみせる。実際、凪以外に興味も関心もなかった光秀が、他の女担当に色目を使った事は一度としてない。心外な思い違いをされては困ると軽く弁解すれば、凪はやはりほんのりと胡散臭そうな眼差しを向けて来る。

(本当に、お前以外に興味はないんだがな)

僅かに眉尻を下げ、光秀が穏やかに笑ってみせた。男の浮かべた表情が少し意外だったのか、凪は驚いた様子で仄かに眸を瞠った後、何処となく気まずそうに顔ごと視線を逸らす。やがて大まかな話をまとめ終えたところで、凪がタブレットの電源を落とした。先刻話した内容を社内へ持ち帰り、上に掛け合って許可が下りたところで、正式に光秀側でも初稿へ取り掛かる事になる。内容としては十分詰めただろう、と光秀が資料を端へ退かしていると、思い出したように凪が携帯端末を取り出した。

「あ、そういえば先生、連絡先を教えてもらってもいいでしょうか」
「俺は別に構わないが……それは社用端末か?」
「いえ、自前です。新人なので、まだ社用は支給されてなくて……」
「……それは僥倖(ぎょうこう)」
「え?何か言いました?」
「いや、何も」

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