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❁✿✾ 依 依 恋 恋 ✾✿❁︎/イケメン戦国

第2章 依依恋恋 二話



「明智先生、ヒロインの天照大御神を取り合う神様は、どんな性格にしますか?」
「そうだな……建御名方(たけみなかた)は天照大御神を妹のように扱う上、面倒見が少々良すぎるお人好しの兄貴分。饒速日(にぎはやひ)は影から天照大御神を守る、少々意地の悪い男……とでもしておくか」
「結構両極端ですね……でもどっちも女性ファンがつきそうな感じです。ちなみに瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)はどうします?」
「天照大御神を自身の姫と呼び、執心を向ける享楽主義者とでもしておけばいい」
「何だか妙にリアルですね、瓊瓊杵尊……」
「ある程度具体的な方が印象付けしやすいだろう」

タブレット端末を取り出し、光秀が語る内容を漏らさず記録しようとしていた凪が、ふと苦笑した。実際、具体的な想像例がある、とまで余計な事は言うまい。何事にも懸命に打ち込む性分もどうやら変わっていないらしく、凪は真剣な面持ちで話をまとめていた。その真摯な表情を暫し見つめた男が、ふと何気なしに問う。

「お前は、片方を選ぶとしたらどちらがいい」
「私ですか?うーん……まだ具体的にお話を読んでいる訳じゃないので、これから変わるかもですけど……第一印象的には饒速日(にぎはやひ)かなって」
「ほうほう、なるほど。意地悪な男の方が好みという事か」
「えっ!?そっちの方向に持っていきます!?別に意地悪な人が好みな訳じゃないですよ……!」

少し揶揄めいた調子で光秀が双眸を眇めれば、凪が慌てて首を左右へ振った。打てば響く、ころころと変わる彼女の表情を見ていると、面倒な打ち合わせも楽しく思えるのだから不思議だ。傍にある、少しぬるくなった茶へ口をつけた後、光秀はそっと座卓の天板へ自然な所作で頬杖をついた。そうしてタブレットへ意識を向けている彼女の視線をこちらへ射止めようと、低音にほんの僅かばかりの艶を紛れさせる。

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