第5章 憤怒
チリリンとベルと扉が閉まる音が聞こえ桜さんはその音色と共に立ち去ってしまった
追いかけるべきなのだろうがそれは正解でないような気がする
逆に興奮させてしまうように思えたから
[……………]
[……いいの?ことはちゃん…あんな事言っちゃって]
余計なおせっかいかもしれないが口からポロっと出てしまう
彼女もあんなふうに怒らせたかった訳では無いはず
[…あーいいわよ]
[本当のことだもの]
ははとから笑いながら転がった椅子を元の位置に戻す
普段のことはちゃんの雰囲気だ
言ってはいけないのだろうが彼の性格もここではいと聞くような子でもなかったし仕方ない
[…まぁ…そうかもしれないけど…]
[桜が風鈴のてっぺんをとるんだって言うんだもの]
[なら]
[知っててもらわないと]
"てっぺん"
その言葉は憧れもあり重たくも感じるものだと私は感じてしまう
あんな体験をしたから余計に考えすぎというのもあるかもしれないが
[…そっか…]
[あいつが]
["上"を目指すなら尚更よ]
[まぁ私が言わなくてもわかるかもだけど]
[……………]
(…上か)
梅宮さん達三年生が成し遂げた風鈴高校の統一
生半可な道ではなかったと話には聞いている
それ+今の風鈴の現状を聞いても尚彼は
(いや…)
(お節介にも程がある…)
桜さんはもう立ち去ったのだ 今更どうにもできない
どうして私は彼に対してここまで考えすぎるのだろう
(なんで…?)
ただ分かるのは
未だに脳裏に焼き付いて離れない
あの覚悟を決めた瞳
そう あれはまるで
まるで