第5章 憤怒
[ちょ…ちょっと!ことはちゃ…!]
そんな事言ったら彼は間違いなく
[は?]
やはりキレている
私達に手を出さないだろうけど物凄い気迫がひしひしと伝わってきて怖気づいてしまう
[今のままじゃ風鈴のてっぺんどころか…風鈴の誰にも相手されないかも]
それでもことはちゃんは気にせず言葉を続けていく
はっきり言う子だしどうしてもきつい言い方にはなるけど何が何であれ人のために言える女の子だ
だから風鈴とはどういうものなのか桜さんに理解してほしくて言っているはず
(…なのだけれど…)
[んなわけあるか!!お前オレがどんだけ強いか知らねーたろ!]
認めないと言わんばかりにバシッと強い音が響くほど机に衝撃を与える
嫌でも彼が強い怒りを起こしているのが理解してしまうほどに
[…っ!ふ、二人とも落ち着いて…!]
これ以上は本当にまずい
ヒートアップしすぎて鎮火できなくなりそうだ
少しでも二人を落ち着かせないと
と思い宥めようとするも
[…確かに腕っぷしは強いのかもね]
[それでも風鈴のてっぺんはとれないわ]
[あんたは…]
["ヒトリ"だから]
彼にとって決定打のような言葉だったのだろう
[…!きゃ…!]
聞いた瞬間椅子が地面に叩き転がされる 先程までと段違いの響きだ
よほど我慢できなかったのだろう 興奮している
[…………っ!]
[誰かに頼らなきゃ勝てねーほど俺は弱くねぇ!]
[桜…さ…]
(どうしてなの…)
今話をしている彼を見ると"虚しく"見えてしまう
もしかして桜さんは
[物理的な話じゃないのよ]
[一度風鈴の子達に会ってみるといい…]
[そうすればきっとわかるわ]