第3章 出会いⅤ
[あ?急にな…]
彼は声をかけるまで気づかなかったようだ
それもそのはず
今まで地図とにらめっこしていたのだから無理もない
[え…とさっきからここにいるみたいなので]
[困っているのかなと…]
[…………………]
(うん?)
[え…とあの………?]
石のように固まっていたかと思えば今度は顔を茹でダコのように真っ赤にして口をパクパクさせている
どうしたのだろうか一体
何か悪いものでも食べたのかな
[な、なんだ……よ!か、関係ね…ねぇだろ!?]
[ひゃ…!ひゃい…]
(…わ、わぁ…)
間近で大きい声を出されたものだから変な声が出てしまった
彼の神経を逆撫でさせたらしい
もしかしなくても余計なお世話だったのだろうか
(…だとしても)
[……は、はぁ]
[…だと、だ、大丈夫そうです…か?]
[わ…分からなければ…教えますけど]
万が一ということもある
ここは引き下がるべきなのに何故か食い下がっている自分がいて
我ながら珍しく食い気味だったと思う
彼に"何か"重なってしまっていたのかもしれない
[…………っ…]
[………………ここ]
[ここの場所がわからねぇ…]