第3章 出会いⅤ
[………っと]
[こんなものかな…]
[……あとは]
(……ってあ)
[……確か椿ちゃんが来る頃合いだった…]
なんてことだ
やる事があるからといって頭から抜けてしまうなんて
仕事に集中しすぎたのかもしれない
[んーと…チャットチャット…]
ポケットからスマホを出し通知が来てないか確認しようとすると
[……ん?]
何だろう
さっきから鶴の湯の目の前をウロウロしている人がいる
気の所為でなければ何度も何度もここに来ているような気がしないでもない
というか間違いないはず
(…道に迷ったのかな…?)
だとしたら力にならないと
困っているのだろうし
緊張はするけどそんな事言っている場合じゃない
(…………よし)
覚悟を決め恐る恐る近寄っていくと
[…………………]
(わぁ…)
髪色の片方が漆黒でもう片方が白
琥珀の煌めきが迸るオッドアイ
間近で見たからなのかより一層
"綺麗"だと
(こんな素敵な人いるんだ…)
鮮やかな美しさに見惚れてしまう
こんな事初対面で言ったら怒られそうだけど
(……………………)
一度目に焼き付いたら離れない印象をもつ人だからなのか
[……………あの]
[…どうかしたんですか?]
話したい
気づいたら口を開き彼に声をかけていた