第5章 ぶっきらぼうだけど
とっさにしゃがみこみ、目を瞑る。
「っ、お前……万事屋の女…?」
聞いたことがある声に、見覚えのある黒い隊服。
「!!土方…さん?」
「お前、こんなところで何をしている?」
昨日一瞬だったとはいえ見知った顔に、私はさっきまでの不安感が身体から抜け落ちた。
「よ……よかったぁ…」
土方さんは質問に答えずに何故か自分を見てほっとしている私に疑問を感じたかのように首を傾げる。
「……よくわからねぇ奴だな。お前、今ここいらで不審者が出ていることは知ってるか?一人で歩いてたら危ねぇぞ。万事屋のヤローはどうした」
不審者か。なおさら助かった。
「あ、銀さんは一緒じゃないです、その……お恥ずかしながら道に迷っちゃって……」
モジモジしながらそう答えると、土方さんはハァーっと大きいため息を着く。
「いい大人が迷子になってんじゃねぇよ……で?どこに行くつもりだったんだ?」
「スーパーです」
「………お前、よっぽど道に迷いやすいんだな」
半分呆れたような表情で私を見つめる。
やめて……そんな目で私を見ないで……