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救済せし氷の庭【鬼滅/童磨/R18】

第2章 弍 黎明


 次に私が目を覚ました時、眼前にあったのは天井だった。木でできた天井には電灯の類は取り付けられていない。古い家屋なのだろうか……? 提灯の明かりだけで照らされているためか、部屋の中はどことなく暗い。

「起きた〜?」

 再び視界が遮られた。私の視界を覆ったのは先ほどと同じように童磨である。目の前に端正な顔があると、さすがに少し怯んでしまう。
 先ほどは突然のことにあまり気が回っていなかったが、冷静に考えるとこの男はあれこれおかしい。まず髪色の赤い部分や、瞳に浮かぶ数字。無論髪を染めたとか、カラコンを入れたとかで説明はつく姿ではあるのだが……それ以前にもっとこう、人らしからぬ妙な気配があると言うか。

「ここは俺の家みたいなところだよ。極楽教っていう宗教やってるんだ」
「へえ……どんなことをしているんですか?」

 私は身を起こしながら周囲を見渡してみる。やはり建物が古臭い感じがするし、というか宗教? あの身のこなし、暗殺者とかそういうのかと思ってしまったのだが。

「助けを求める人がうちに来るでしょ? だから俺が苦しみから彼女たちを救うために、殺して食べてあげるんだ」
「なるほど。救うために食べ……食べる?」

 思わず童磨の顔を凝視する。しかし最初から変わらぬ張り付いた笑みがにこにことこちらを見ていて。

「ああ、言ってなかったね。俺、鬼なんだ。人間じゃないんだよ」
「鬼」

 流石に冗談だろうという言葉も一応頭をよぎったが、先ほどの人離れした異様な強さや冷えきった心根を思い出すと納得せざるを得ない。むしろ人でないと言われて腑に落ちる。

「では、私のことも食べますか?」

 その言葉はごく自然に口をついて出た。恐怖からくるものではない。好奇心に近いものであったと思う。
 童磨は私の言葉に虹色の目を白黒させて、それからわははと楽しそうに笑った。

「えーまだ食べないよ。君とはこれから"恋"をするからね!」
「そうなのですか」

 何が楽しいのか、彼は私の手を遊ぶようににぎにぎと掴んで振っている。
 私はそんな彼を見て僅かに笑みを溢した。一度死んだせいなのか、私も相当イカれている。鬼に恋だなんだと言われてちょっと嬉しいだなんて。
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