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ハリー・ポッターと笑わないお姫様【3】

第4章 闇を写す茶杯



ハーマイオニーは得意げに顎を上げた。
「言ったでしょ。これはマクゴナガル先生と一緒に決めたの。だから大丈夫よ」


その時、背後から大きな声が響いた。
「元気か!」


振り返ると、ハグリッドが大広間に入ってくるところだった。
長いモールスキンのオーバーを羽織り、片手にはイタチの死骸をぶら下げて、ぐるぐると無意識に振り回している。



「おまえさんたちが俺の1番最初の授業だ! 昼食のすぐあとだぞ!5時起きして準備してたんだ……うまくいきゃいいがな……俺が先生とは、いやはや……」
顔じゅうに笑みを広げ、ハグリッドはそのまま教職員テーブルへ歩いていった。


「……準備、って何のだろ」
ロンが小声でつぶやく。声色にはちょっとした期待と、倍くらいの心配が混じっていた。


「まさかまた、ドラゴンの卵とか?」
チユが冗談めかして言うと、ロンの顔が引きつった。


「やめてくれよ……」


やがて生徒たちはそれぞれの授業に向かいはじめ、大広間は少しずつ空になっていく。
ロンは改めて時間割を広げて眉をひそめた。


「やばい、俺たちも行かないと。『占い学』は北塔のてっぺんだ。着くまで10分はかかるぞ!」



急いで朝食をかき込み、フレッドとジョージに「またあとで!」と手を振って、4人は大広間を横切った。


スリザリンのテーブルの横を通り過ぎるとき、案の定マルフォイが椅子から崩れ落ちるように気絶の真似をして見せた。
周囲のスリザリン生がどっと笑い声を上げる。


チユは唇をぎゅっと結んだ。
(……ほんとに、くだらない。ハリーがどんな気持ちになるかも知らないで)


笑い声は玄関ホールに入るまで、ずっと彼らを追いかけてきた。


城の中を通って北塔へ向かう道のりは遠かった。
ホグワーツで2年を過ごしても、城の隅々までを知り尽くしてはいない。

しかも、北塔には入ったことがなかった。

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