第4章 闇を写す茶杯
ジョージがすかさず話を引き継いだ。
「ま、吸魂鬼なんてどうでもいいさ!問題は、クィディッチの開幕戦だ!グリフィンドール対スリザリン!ハリー、覚えてるよな? マルフォイのあの惨めな負けっぷり!」
彼はフォークを剣のようにつき上げ、勝ち誇った笑みを浮かべた。
ハリーとマルフォイがクィディッチで対戦したのは1度きりで、結果はマルフォイの完敗だった。
そのことを思い出したのか、ハリーの顔に少し明るさが戻り、ソーセージと焼きトマトへ手を伸ばした。
その横で、ハーマイオニーは広げた時間割に目を輝かせていた。
「わあ、嬉しい!今日から新しい科目が始まるのね」
声まで弾んでいる。
「ちょっと待てよ」
ロンがハーマイオニーの肩越しにのぞき込み、顔をしかめた。
「君の時間割、めちゃくちゃじゃないか?ほら、ここ。午前9時、『占い学』。で、その下に9時『マグル学』さらに……」
「えっ?」チユも身を乗り出して覗き込む。「ほんとだ、3つ目に『数占い学』って……ぜんぶ9時!?」
「まさか」ロンは目を丸くして、さらに身を寄せた。
「おいおい、3つの授業に1度に出るつもりか?ハーマイオニーが優秀なのは知ってるけど、さすがに人間業じゃないだろ」
「ばか言わないで!」ハーマイオニーが口早に反論する。「1度に3つのクラスに出るわけないでしょ」
「じゃあ、どうするんだよ?」ロンは食い下がる。
「――マーマレード取ってくれない?」
ハーマイオニーは話題を切るように、平然とトーストに手を伸ばした。
「えっ、マーマレード?いやいやいや!」
チユは小声で笑ってしまった。
「ほらな、誤魔化した!」ロンが勝ち誇ったように指をさす。
「もう、いい加減にして。私の時間割が詰まってるからって、あなたに関係ないでしょ?」
ハーマイオニーがピシャリと切り捨てる。
ロンは「へぇへぇ」とふてくされた顔をして、チユと目を合わせた。
「なあ、チユ。これ、絶対おかしいよな?」
チユは肩をすくめ、苦笑した。
「……まあ、ちょっと無理がある気はするけど。ハーマイオニーだもん。たぶん、なんとかしちゃうんじゃない?」