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ハリー・ポッターと笑わないお姫様【3】

第4章 闇を写す茶杯



ジョージがすかさず話を引き継いだ。


「ま、吸魂鬼なんてどうでもいいさ!問題は、クィディッチの開幕戦だ!グリフィンドール対スリザリン!ハリー、覚えてるよな? マルフォイのあの惨めな負けっぷり!」


彼はフォークを剣のようにつき上げ、勝ち誇った笑みを浮かべた。



ハリーとマルフォイがクィディッチで対戦したのは1度きりで、結果はマルフォイの完敗だった。
そのことを思い出したのか、ハリーの顔に少し明るさが戻り、ソーセージと焼きトマトへ手を伸ばした。



その横で、ハーマイオニーは広げた時間割に目を輝かせていた。
「わあ、嬉しい!今日から新しい科目が始まるのね」
声まで弾んでいる。



「ちょっと待てよ」
ロンがハーマイオニーの肩越しにのぞき込み、顔をしかめた。



「君の時間割、めちゃくちゃじゃないか?ほら、ここ。午前9時、『占い学』。で、その下に9時『マグル学』さらに……」


「えっ?」チユも身を乗り出して覗き込む。「ほんとだ、3つ目に『数占い学』って……ぜんぶ9時!?」



「まさか」ロンは目を丸くして、さらに身を寄せた。


「おいおい、3つの授業に1度に出るつもりか?ハーマイオニーが優秀なのは知ってるけど、さすがに人間業じゃないだろ」



「ばか言わないで!」ハーマイオニーが口早に反論する。「1度に3つのクラスに出るわけないでしょ」


「じゃあ、どうするんだよ?」ロンは食い下がる。



「――マーマレード取ってくれない?」
ハーマイオニーは話題を切るように、平然とトーストに手を伸ばした。



「えっ、マーマレード?いやいやいや!」
チユは小声で笑ってしまった。


「ほらな、誤魔化した!」ロンが勝ち誇ったように指をさす。



「もう、いい加減にして。私の時間割が詰まってるからって、あなたに関係ないでしょ?」
ハーマイオニーがピシャリと切り捨てる。



ロンは「へぇへぇ」とふてくされた顔をして、チユと目を合わせた。
「なあ、チユ。これ、絶対おかしいよな?」


チユは肩をすくめ、苦笑した。
「……まあ、ちょっと無理がある気はするけど。ハーマイオニーだもん。たぶん、なんとかしちゃうんじゃない?」

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