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偽りの私たちが零す涙は【保科宗四郎】

第7章 仮契 〜甘契〜


ショッピングモール内のカフェで腰を下ろす。
何食いたい?とメニュー表を差し出してくる。受け取り、テーブルに置いた。副隊長も見えるように…でも差し出してくれたので、向きは私側だ。

これ…とパスタを指差すとわかったと定員さんを呼ぶ。え、副隊長はもう決まったの?首を傾げていると注文を終えた彼が、頬杖をついて笑いながら見つめてくる。

「どしたん?」

「あ…いえ…」

ふふ…と笑って可愛ええねと囁くので、テーブルに額をぶつけたくなった。一度、色々冷やしたい。どうしようもなく惹かれる自分を嘲笑う。伝えてはいけないのに…。

「澪ちゃんって……タコみたいやな」

「え?……たっ…うぅ……宗四郎さんは余裕ですもんね…」

「可愛ええ言うとんの」

ずっとそれでええよと微笑む副隊長の雰囲気が甘過ぎて呑まれそうになった。太腿の上で握った拳がぷるぷると震える。

恥ずかしいのやら嬉しいのやら…私だけ喜んで悔しいというのもあるかもしれない。またあの時みたいに、副隊長の顔を赤くさせたい。

余裕たっぷりの副隊長から目を逸らして、テーブルを見つめた。

副隊長を照れさせるのは家に帰ってから…あの顔は私だけのものにしたい。
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