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偽りの私たちが零す涙は【保科宗四郎】

第7章 仮契 〜甘契〜


「宗四郎さん…本当にいいんですか?全部買ってもらった上に、持って頂くなんて…」

「ん?僕が着て欲しいんやから、買うのは当たり前やん?それと…男が女の子の買い物に付き合う時は、荷物持ちって決まってんねん」

紙袋を3個両手に抱えた副隊長から1個でも奪い取ろうとしたが、さり気なく躱されてしまった。手を繋ぎたかったのに…そっと袖を摘んで後をついていく。

歩いていると途中でクスクスと笑い始めた彼に首を傾げた。

「袖掴んどんの、健気で可愛ええ思うけどな…普通に腕掴んでええで」

八重歯を見せて振り向いた彼に、私の心臓はすでに持ちそうにない。どうしてあなたはそんなにずるいの?私に気持ちなんてないくせに…。

「宗四郎さん、好きです…」

「ん?僕も好きやで」

大丈夫、これは演技だから…私の気持ちはバレない。……伝わったらいいのに。ただ、この関係は壊れないで。

微笑む彼を見て、胸は締め付けられるばかりだった。
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