第7章 仮契 〜甘契〜
テーブルの上で指をトントンとし、頬杖のまま見つめてくる副隊長をちらちらと見ていた。それは副隊長も気付いていて、揶揄うニュアンスを含んだ笑いを零している。
「ふはっ!見るんやったら、堂々と見てや」
堪えきれなくなった副隊長が吹き出した。
「堂々と見たら心臓壊れちゃいますっ!!…はっ!」
待って、今のバレた?どうしよう…バレたら何もかもなくなっちゃう。まだ副隊長と過ごしていたい。
「そない意識しとんの?……昨日、僕の見たこと」
勘違いしてくれたようだ。コクッ…と頷くとそうなんやと弾む声を発した。私が副隊長についている一番大きな嘘。これだけは嘘のままにしなければいけない。