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偽りの私たちが零す涙は【保科宗四郎】

第7章 仮契 〜甘契〜


「休みの日に外出るん、久しぶりやなぁ」

「ほとんど休んでなかったですよね…身体壊しますよ」

「っるさいわ!」

首に腕を回され引き寄せられる。苦しいですと訴えるが、力など入っていなかった。

「……君がおるから、身体なんて壊さへん」

一瞬、思考が停止した。それはどういう意味で言ってます?私の為に、ですか?それとも……。

「遅うなったら、飯作って待っとってくれるし、夜もよう寝れとるわ」

私の"為"ではなく、私が"いるから"だった。少しだけ胸を痛めながらも、こんな私でも彼の力になれているんだと嬉しくなった。

手を引かれるままについていく。どこに行くんだろう。手ではなく、首だった…。

「なんや嬉しそうやなぁ…手ぇ繋ぐんやなくて、首の方がええのか?ほな、首輪買うか…」

「え……私は犬ですか!?」

きゃんきゃん後ついてくるやんと笑いながら、首に腕を回しながら連れられていく。嬉しいのは首に腕が回ってるからではないのだが…まあいいか。

確かに、この近さに胸が高鳴っていた。
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