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偽りの私たちが零す涙は【保科宗四郎】

第7章 仮契 〜甘契〜


「起きた?」

「……起きた」

ん…と軽く額に口付けて、私の手を引きながら寝室を出ていく。顔洗ってきと洗面所の入り口で置いて行かれた。

さっきまであんなにくっついてたくせに…などと、ちょっとしたことで心に不満を抱えた。

軽く歯を磨いてから顔を洗い、リビングへと急ぐ。まだ、副隊長の指の感触が口の中に残っていた。それだけではない。「僕がゆっくり君を大人にしたるわ」…ずっと頭の中で繰り返されている。

一線を超えないように耐えなきゃ…。

リビングの扉を開けると、コーヒーのいい香りが鼻腔を擽った。朝ご飯は…フレンチトーストだ。甘い物を作るあたり、可愛いなぁと思いながら近付くと…。

ただのフレンチトーストではなかった。ハムとチーズが挟んであって、断面からチーズがとろりと漏れ出している。

お腹がぐぅ…となり、鼻で笑われて恥ずかしくなる。

「可愛ええ音鳴らしとるなぁ……見てみ?チーズ…昨日の君みたいやない?とろけとるわ」

近付いてきて、すっ…と太腿を撫でられた。

「昨日、執務室でキスして、ココ…どないなってた?」

「ああぁあ!!なんのことですかね!」

ビクッと震えながらも、大きい声で遮りながらとぼけた。
やっぱこの人…えっちだ!意地悪だ!
いつもの優しさはどこへ行ったのやら…。

椅子に座ってお腹空きましたと訴える。そうすると副隊長も笑いながら椅子に座って食べよかと手を合わせた。
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