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偽りの私たちが零す涙は【保科宗四郎】

第7章 仮契 〜甘契〜


「あれぇ?今、声だけで感じやんかった?……そうなんや…僕の声好きなんやねぇ」

ほな…と呟き、瞼に生暖かいものが触れる。瞼にキスしてる、そう気付くのに時間はかからなかった。閉じていて真っ暗なはずなのに、視界がパチッと白く光った。

瞼から唇から離れると、下唇を優しくなぞられる。口開けて…と耳元で甘く囁かれて、抗うことが出来ずに薄らと開く唇。

すぐに滑り込んできた指に、少し息を呑んだ。

舌に触れられれば鼻にかかる声が漏れ、副隊長が嘲笑うように鼻から息を吐く。全て見透かされているような気がして、少し不安になった。

「澪ちゃんな…キスん時、ここ擽るとええ反応するんよな」

少し奥の上顎を指の腹で撫でられて、副隊長の指の隙間から熱い吐息と切なく甘い声が漏れた。耳元で甘く低く囁く声にも反応してしまう。

私が知らないことまで身体に教え込まれているようで…次のキスはそれを意識してしまいそう。

「……はよ起きて。僕の作った朝飯、冷めてまう」

指が口から抜かれていく。

「は、はい……」

私の震えた声が荒くなった息と漏れ、朝からとんでもないことをしてしまったと思いながら、身体は悦んでいた。

副隊長は私の唾液で濡れた指を舐めながら、別の手で私の手を引く。
揶揄うのか甘さを出すのか、色気で惑わすのか…どれかにしてください、本当…。
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