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偽りの私たちが零す涙は【保科宗四郎】

第7章 仮契 〜甘契〜


「めっちゃ目ぇ逸らすやん。僕のこと意識しとるやろ?」

そうですね、この状況に困惑しています。

布団を剥ぎ取り、私の腰に跨って脇腹を擽りながら起こすなんて、卑怯ではありませんか?

指が離れて荒く息をしながらボーッと天井を見つめていると、また卑怯な攻撃がくる。くねくねと腰を動かしながら逃げようとしても、腰に跨った副隊長のせいで、どうにもならなかった。

「非番やし、寝かせておきたいんやけどなぁ…2人揃っての非番や……デートせぇへん?」

デートという響きに一瞬心を踊らせたが、偽装を完璧にする為のものだと気付いた。それなら、そんな早くからじゃなくてもいいだろうと、また目を瞑った。

「ほぉん?……脱がしてまおかな…」

揶揄うような…でも決して高くはない副隊長の声。甘く低く、危険な香りのする声。
もし目を開けなければ、本当に脱がされてしまいそう。

ダメだと思う私と、それを望む私がいた。
少し…少しだけ目を閉じたまま、副隊長がどうするのか待ってみた。

「……開かんのかいっ!」

てっきり、危険な香りを最大限まで放って煽ってくるのかと思ったが、見事なツッコミが炸裂した。思わず、ふっ…僅かに笑いが零れてしまう。

「ふぅん…そうか。僕に全部、暴かれたいんや?」

いきなり低くなった声に肩を震わせる。

「ち、ちが……」

「違わんなぁ。だって……開いてないやん」

耳元で艶やかな声を発する。思わず、その声だけで鼻から抜ける甘い声が漏れた。
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