第2章 再会
次の日、保科さんの紹介が正式に隊員にされたようだ。私は訓練校から帰ってくると亜白隊長に呼ばれ、隊長室へと向かう。中に入れば、亜白隊長と保科さんがいた。
「紹介しよう、朝霧澪だ。この子の両親が第3部隊の小隊長であった為、2人が殉職してからはここで暮らしている」
亜白隊長が私の紹介をし仲良くしてくれと言うと、保科さんは了と返し、私たちは隊長室を後にした。
「うちのおとんと仲良かった朝霧小隊長の娘さんか…あの時の子やね。よろしゅう」
差し出された手を取り握る。保科さんはその後も話しながら歩いてくれたが、あの日の会話と昨日私が泣いていたことを話題に上げることはなかった。
保科さんと話している私の声は、普段より少し高くなっていて、緊張からなのか、特別な人だからなのかわからなかった。
「まだ震えてる…」
保科さんと別れた後、小刻みに震える自身の手を自嘲気味に見つめる。心做しか声も震えている気がする。私の身体が保科さんに反応している、確かな証拠だった。